AVENを紹介するブログ—その他Asexualityについて

エース当事者が運営するブログです。AVEN(エイヴン)—The Asexual Visibility and Education NetworkのHPに掲載されているFAQやリソースを和訳して転載しています。和訳は、エイヴンのプロジェクトチームに承認されています。(2022) / その他エイセクシュアル(アセクシュアル)に関する情報を投稿します。 ※記事の無断転載はご遠慮ください。

エイセクシュアル・エリート主義

エイセクシュアル・エリート主義 とは(asexual elitism)

注意:性行為に関する言及あり。


”エイセクシュアル・エリート主義” という考え方は、エイセクシュアリティの歴史のかなり初期の頃から存在していた。様々な形で文脈に潜んでいるので一概に定義することは難しい。しかしその主張の根底に共通するものがある。それが次のようなもの。

 

『セックスをしないことは優れている。』

 

これは、性行為をするかしないかの行動面にエイセクシュアルのアイデンティティを依拠するものである。また、「性欲がなく性行為をしないエイセクシュアリティは純潔(pure)である」という主張もエリート主義の一部として捉えられている。近年では、「エースはピュアな存在」という主張はほとんど見受けられなくなった。しかし、2000年から10年くらいにわたっては「もう聞き飽きた」というほどコミュニティのあちらこちらにいたという。

 

エリート主義者たちは、“TURE ASEXUAL”とか“PURE ASEXUAL”という言葉を復唱的に用いていたという。(特にpureは、20世紀に保守的なアメリカ教会が促進した結婚前の性的厳格さ—purity culture movement.の意味合いを持っている。)


「エリート」と呼ばれるのは、エイセクシュアルの人々が、セクシュアルの人より知的であると主張する人が現れたことも関係する。セックスや性欲に意識を取られない分、精神力・集中力・注意力などにすぐれて知能が高いという根拠のない意見だ。(これに「ノーベル賞受賞者のほとんどが、エイセクシュアルではないことを念頭においてくれ」と反論しているエースがいた。)

 

 

 

AVENはエイセクシュアル・エリート主義に反対している

 

一時期のエリート主義の台頭は、エイセクシュアル・コミュニティの発展とともに顕著となった。エイセクシュアル・コミニティの歴史をさかのぼると、AVENが設立する以前に大きなグループだったのは、「公式Aセクシュアル協会」というコミニュティサイト。このサイトは、メンバーになるために適正テストが必要だった。後に、「公式ノンリビドー派協会」と改名されたが、活動中はエリート主義の典型だったといわれている。公式ノンリビドー派協会とAVENのAセクシュアルに対する立場の対立は早くからあり長年続いていた。AVEN設立直後、すぐにフォーラム内ではAセク・エリート主義的な人々がちらほら現れ、次第にそれは、物議を醸し始めた。AVENは、エリート主義者を取り締まっていなかったが、「アンチ・セクシュアル的態度をとるエリート主義者の発言は性的な人々を蔑視している」と警告していた。
最終的に、AVENはエリート主義をフォーラム内で共有しないことを宣言。エリート主義的な書き込みは明確に禁止されている。公式ノンリビドー派協会について、現在は活動していない。(組織解体されたかは不明)

AVENのメンバーの見解では、エリート主義的な態度を示す人々は、性的指向と行動を混同していたという。セックスをしないこと、性欲がないことはエイセクシュアルの定義にはならない。エースの中には、身体的な快感をえるためにセックスをする人もいる。性行為をしたとしても、その人はエイセクシュアルのままである。
『エイセクシュアルの人々は、どの性別にも性的な魅力を感じない。』そのことだけがアイデンティティに依拠する。また、エイセクシュアルかどうかは、各自が判断することのはずで、イデオロギーや他人の観察によって判定されるべきものではない。

 

 

参考資料:
https://www.asexuality.org/en/topic/51411-what-is-asexual-elitism-and-why-does-aven-discourage-it/