AVENを紹介するブログ—その他Asexualityについて

エース当事者が運営するブログです。AVEN(エイヴン)—The Asexual Visibility and Education NetworkのHPに掲載されているFAQやリソースを和訳して転載しています。和訳は、エイヴンのプロジェクトチームに承認されています。(2022) / その他エイセクシュアル(アセクシュアル)に関する情報を投稿します。 ※記事の無断転載はご遠慮ください。

(5)ご家族・ご友人向け / FAQ for Family&Friends

ご家族・ご友人向け/FAQ for Family&Friends

 

エイセクシュアリティとはそもそも何ですか?

エイセクシュアリティとは、性的な魅力やパートナーとの性交に対する本質的な欲求がないこと、と定義されている性的指向のことです。ほかの性的指向は、性別によって惹かれる方向性が決まっています。(例:異性愛者=異性に性的な魅力を感じる)しかし、エイセクシュ アルは、「性的」な部分をもっていません。つまり、どのジェンダーにも性的に惹かれないということです。異性愛と同性愛が正反対であるように、エイセクシュアル(どのジェンダー にも惹かれない)は、バイ(複数のジェンダーに惹かれる)あるいは、パンセクシュアル (すべてのジェンダーに惹かれる)の反対とみなすことができます。

 

なぜ、エイセクシュアルだとカミングアウトする必要があるのでしょうか?  

エイセクシュアルの人は、自分のセクシュアリティについて周囲に打ち明けたいと考えることがあります。その理由はその人によってさまざまですが、自分をもっと理解してほ しい、本当の姿を見てほしい、と思うっている当事者は少なくありません。そして、エイセクシュアルであることは、自分にとって自然なことであり、問題や障害ではないから安心してほしい、と伝えたいのかもしれません。

 

若者がエイセクシュアルであることは、ただの反抗期でそのうち気が変わるのではないでしょうか? 十代や二十代が 自認するには、あまりに幼すぎると思います。

エイセクシュアリティは、ほかの指向と同様に成人しても生涯を通して変わりません。当事者にによっては、 自分の性的指向に疑問を抱く不安定な時期がある人もいます。しかしその一方で、思春期の頃から自分の指向がエイセクシュアルだと確信を持っている人もいます。

 

性的虐待・抑圧された同性愛・精神的な問題などが原因でエイセクシュアルになることは有り得ますか? また、精神科に通わせるべきでしょうか?

エイセクシュアリティは、精神的な問題や障害ではなく正当な性的指向です。確かに、当事者のなかには、過去に性的トラウマを経験したり、精神的な悩みを抱えていた人もいます。しかし、それらが必ずしもエイセクシュアリティと関連しているわけではありません。実際、2015年のエイセクシュ アル・コミュニティ調査によると、エース回答者(当事者)のうち、エイセクシュアルであることがメ ンタルヘルスの専門家にかかるきっかけになったと答えた人はわずか5%でした。

 

親・親戚・友人として、なにかいけないことをしたのが原因ですか?

いいえ。エイセクシュアリティの原因は子育てにはありません。親として、親戚として、友 人として、あなたにできる最善のことは、愛と理解のある環境を与えてあげることです。そし て、彼らが自分自身に自信を持つことができるように、エイセクシュアルであることを肯定してあげることです。

 

エイセクシュアルの人は愛を育むことができないということですか?

いいえ、そうではありません。エイセクシュアルは、性的なことに魅力を感じないだけで、他者に対する愛情はとても深く豊かです。エイセクシュアルであっても、恋をしたいという気持 ちはありますし、当事者はさまざまな仕方で恋愛を楽しんでいます。

 

もしエイセクシュアルの人が不幸になっていた り、孤独を感じていたらどうするべきですか?

健康的な生活を送るには、ありのままの自分でいられることが一番です。エイセクシュアルの人をサポートする最善の方法は、彼らの指向を受け入れ、彼らが彼らのままで、やりたいことを続けられるように応援することです。いずれにせよ、エイセクシュアルの人もほかの人と同じように幸せになることができます。

 

親族・近所の人々・学校の先生などに言うべきですか?

エイセクシュアルであることを周囲の誰に知ってもらうかは、当事者の判断になります。非常にオープンで積極的に語る人もいれば、より内密に伝える人もいます。この違いは、当事者の性格や他人からの評価に対する不安などが背景にあります。また、カミングアウトの時期と方法は、その人の人生に大きな影響を与える可能性があるため、本人の意志に委ねることが重要です。当事者の許可なく性的指向を開示することは「アウティング」と呼ばれ、人間関係や人生にトラブルを引き起こす要因となるため注意してください。

 

性交をしたことがない子供や友人が、どうしてエイセクシュアルだといえるのですか?

多くのエイセクシュアル当事者は、自分が他者に性的な魅力を感じないこと、あるいは、他者と性的な関係を持ちたいと思わないことを強く自覚しています。エイセクシュアルの人が、したくない性交を無理に行うことによって、エイセクシュアルであることを証明する必要はまったくありません。

ただ、性行為をしてみて自分はエイセクシュアルだと思うようになる人もいるでしょう。 そうだとしても、性交の経験を他人と比較して、その人がエイセクシュアルであるとか、そうでないとか判定を下すことはできません。

 

性行為をする人をきらったり、軽蔑するようになるのでしょうか?

いいえ。エイセクシュアリティとアンチ・セクシュアリティはまったく異なります。アンチ・セクシュ アリティは、セックス・ネガティブとも呼ばれることがあり、社会一般におけるセクシュア リティを否定する意見のことをさします。他方で、エイセクシュアルは、ほかの人との性行為に本質的な魅力や欲求を感じないという性的指向のことです。

人によっては、エイセクシュアルであると同時にアンチ・セクシュアルやセックス・ネガティブである可能性はあります。しかし、広範な社会における健全なセクシュアリティを支持するのであれば、エイセクシュアルであると同時にセックス・ポジティブであるはずです。エイセクシュアルの人も、社会における「性的」なことを受け入れる意義を理解することができます。

 

性交とは自然な営みです。いったい何を恥じたり恐怖を感じたりする のですか?

エイセクシュアルの人は、性交を恥ずかしいと思ったり、恐れたりしているのではなく、ただ単に本質的に関心がないというだけです。一般的に、性交は多くの人々にとって当たり前にあるものです。しかしエイセクシュアルの人はその中の例外です。多くの人が恥ずかしいとか、怖いと思う「初体験」からスタート します。セクシュアルな人にとっては、性交に慣れるまでに、気まずい初体験を乗り越えるのが普通で、それがその後の性への原動力にもなっていきます。ですがエイセクシュアルの人は性に駆り立てられることはありません。気まずい初体験を乗り越えても、それはずっと変わりません。性に対する関心がおこらないことは、エイセクシュアルの自然な状態です。

 

エイセクシュアルの家族・友人をもっと助けるにはどうしたらいいでしょうか?

支えてください。彼らの話に耳を傾けてください。エイセクシュアリティが正当な指向であることを認めてください。ありのままの自分でいていいんだよ、と言ってあげてください。 彼らが自分自身のアイデンティティと折り合いをつけるために、必要な時間と空間を与えてください。やりたくない性交や性的なことを試すようにプレッシャーをかけないでください。そして彼らのプライバシーを尊重してください。

エイセクシュアリティの認知度が高まるように、周囲に働きかけてください。家族、友人、教育関係者、地域社会がエイセクシュアルやエース・アンブ レラの人たちのためにできることはたくさんあります。しかし最も具体的なことは、ただ耳を傾け、ありのままの彼らを受け入れてあげることです。

 

 

Link to original source : https://asexuality.org/?q=family.html