AVENを紹介するブログ—その他Asexualityについて

エース当事者が運営するブログです。AVEN(エイヴン)—The Asexual Visibility and Education NetworkのHPに掲載されているFAQやリソースを和訳して転載しています。和訳は、エイヴンのプロジェクトチームに承認されています。(2022) / その他エイセクシュアル(アセクシュアル)に関する情報を投稿します。 ※記事の無断転載はご遠慮ください。

(6)人間関係についてのFAQ/Relationship FAQ

General Questions/一般的な質問

エイセクシュアル同士は、恋愛関係をうまく築くことができますか?

はい、できます。エイセクシュアルの人も恋愛感情を持ち、その感情を中心に恋愛関係を築くことができます。ただ、エイセクシュアルの人口は少なく、性格も人それぞれなので、気の合う相手を見つけるのはむずかしいかもしれません。しかし世界中に、エイセクシュアルのカップルの成功例はあります。

 

エイセクシュアルとセクシュアルの恋愛関係は成立しますか?

はい、もちろんです。性的な魅力を感じなくても、お互いにロマンティックな魅力を感じることはできます。このことは、複雑な関係にさらなる困難をもたらすこともあるかもしれませんが、うまくいく関係を保つ方法を見つけていくことはできます。エイセクシュアルの人のなかには、恋愛がうまくいかないと最初から決めつけてしまう人もいて、他者と付き合うことを避けたがる人もいますが決してそんなことはありません。

 

エイセクシュアルの人は、誰とも親しくなれないのでは。性行為なしで、どうやって付き合えるというのでしょうか?

興味深い事実!:科学的な研究によれば、性的な魅力とロマンティックな魅力は、脳内にそれぞれ異なる影響をもたらしています。性的な欲求と恋愛感情は、脳の異なる部分が作用している可能性があるそうです。エイセクシュアル研究の第一人者であるアンソニー・ボガート博士はこれについて、人類の進化の過程のさまざまな段階から生じてきたものだと説明しています。多くのカップルにとって、性的なことをしたい欲求と恋愛感情は別々に感じることができても、親密な関係を保つために明らかに結びついています。しかし、エイセクシュアルの人は、パートナーとの性的なつながりを必要とせず、ロマンティックな魅力や親しさだけを感じています。
エイセクシュアルの人は、性的な行為以外の、感覚的な行為によって喜びを感じることがあります。例えばこれは、抱き合ったり、キスをしたりで(つまり性行為とは程遠い肉体的な接触や抱擁のようなもの)そうすることで欲求を満たしたいと思う人もいます。求める親密さの程度は当事者によって異なります。

 

エイセクシュアルでありながら、レズビアン、ゲイ、バイであることは可能ですか?

はい。エイセクシュアルであっても、ホモロマンティック、バイロマンティック、パンロマンティックといったロマンティックな魅力や欲求を経験し、それを自認することが役に立つ場合があります。レズビアン、ゲイ、バイ、パンなどのラベルは、性的、恋愛的(ロマンティック)、その両方において使用できます。

 

エイセクシュアルの人が恋愛関係を望むのはなぜですか?

多くの当事者は、恋愛を通じた深いつながりを望み、他者に対してロマンティックな魅力を感じている場合があります。科学的には、性的魅力と恋愛的魅力は、人類の進化の歴史のなかで異なる時期に発達してきたとされています。その結果、性的魅力と恋愛的魅力は脳の異なる部分を占めるようになったと考えられています。このことは、一部のエイセクシュアルの人が依然として恋愛関係を望んでいることを裏付けています。性的な接触をせずに恋愛関係を追求することは、エイセクシュアルの人にとってごく自然なことです。

 

性的にも恋愛的にも関係を望んでいません。友人関係だけです。それでもいいのでしょうか?

はい、もちろんです。性的指向と同様にロマンティックな指向もまたさまざまです。ロマンティックな指向(恋愛的指向)は、特定の性別(ホモロマンティックまたはヘテロロマンティック)、複数の性別(バイロマンティックまたはパンロマンティック)、誰に対しても向けられていない(アロマンティック)などである可能性があります。

アロマンティックの人々は、恋愛的な愛情や関係の必要性を感じていません。代わりに、プラトニックな関係によって満たされていると感じることがあります。そしてアロマンティックの人たちは、必ずしも感情を出さないとか、孤独であるというわけではありません。アロマンティックの人のなかには友情を超えた深い絆を築く人もいます。これらは一般に、「クィアプラトニックな関係」と呼ばれます。

 

セクシュアルとエイセクシュアルの人間関係は、どうすればうまくいくのでしょうか?

お互いが妥協することで、お互いの求めるものに応えられるような関係を築く方法はたくさんあります。エイセクシュアルの人も性行為に対する考え方はさまざまです。中には、パートナーとの性交にある程度の制限をもうけることで、歩み寄ることができる人もいます。例えば、頻度を少なくすることで同意したりする場合もあります。また、ポリアモリー*などを選択するカップルもいます。この場合、エイセクシュアルの人が性的なパートナーと性的なことをせずに恋愛関係で結ばれていながら、ほかの手段でパートナーの性欲を満たすことができます。

お互いが納得のいく範囲で折り合いをつけることが重要です。すべてのエイセクシュアルの人が性行為をよしとするわけではありませんし、むしろ性行為を妥協することが嫌悪感やトラウマとなる可能性もあります。持続可能な関係を築くには、お互いの願望、懸念、個人的な限界を話し合うことが重要です。

*ポリアモリーとは、関係するすべてのパートナーの十分 な同意を得た上で、同時に複数の親密な関係を持つことです。この反対はモノアモリーで、ひとりの人とだけ親密な関係を持つことです。

 

 

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付き合いたい人がいますが、相手がセクシュアルであることは確信しています。どうすれば誤解されずにアプローチできますか?

まず第一に相手に対して正直になることです。自分が心地よいと思うことや、境界線がどこにあるのかを率直に話してみてください。デートの過程は、パートナーになる可能性のある人との相性を探るものです。あなたが相手のことを好きで、恋愛的な興味があっても、性的指向の相性が合わなければ破談になりかねません。そのような場合は、早い段階からエイセクシュアルであることを打ち明けることで、傷つく時間を少なくすることができるということを多くの当事者が経験しています。性的な人との関係を成功させることは可能ですが、そのためには、正直さとコミュニケーションという、ほかの人間関係と同じ原則を守ることが大切です。

 

エイセクシュアルだと打ち明けたのに、パートナーがわたしに性的に惹かれているということは、相手は私に対して体だけの関係を考えていて、わたしを本当に愛してくれていないということですか?

そんなことはありません。人は、相手に対して性的魅力と恋愛的魅力の両方を経験することができます。そしてそのどちらも「肉体的」な要素に基づくものとは限りません。多くのセクシュアルな人々にとって、性的な親密さは、ロマンティックな愛情や深い信頼の感情を呼び覚まします。あなたに対して性的な感情を抱いたとしても、その人があなたに惹かれ、あなたと一緒にいたいと願うほかの理由が失われるわけではありません。

性行為を主たる目的として交際する人もなかにはいますが、そのような人はエイセクシュアルの人と交際してもうまくいかない可能性があります。

 

付き合ってきたこと——例えば、いちゃついたり、キスしたり、高級レストランに連れて行ってもらったりしたことで、相手に対して性行為の借りをつくっていますか?

まず明確にしておきますが、セクシュアルでもエイセクシュアルでも、相手が何をしたかに関係なく、したくない性行為をする義務はありません。

セクシュアルの人と同じように、いちゃつく、キスする、デートするなどの恋愛行為や官能的な行為を楽しむことができるエイセクシュアルの人もいます。親密な関係になる前に、性的な行為に対する意思表示を明確にすることで、お互いに悲しむことを避けることができます。相手の期待がふくらむまえに、はっきりと伝えておきましょう。しかしもし、この点がはっきりしていなくても、あなたには「ノー」と言う権利があります。セクシュアルのパートナーの短期的な満足は、エイセクシュアルのあなたの健康に及ぼすかもしれない長期的な影響ほど重要ではありません。

 

パートナーは、やりたくない性的なことをするように、わたしにプレッシャーをかけています。この緊張をとくにはどうすればいいですか?

たとえパートナーを喜ばせるためであっても、やりたくないことをする義務はありません。尊重されるべき境界線があることをはっきりと伝えておくことが必要です。もしあなたがパートナーの性的な要求を満たすために妥協してもよいと思うのであれば、すべてをはっきりと説明したうえで、どこまでが限界か相手に理解してもらう必要があります。人間関係で起こる多くの問題と同じように、コミュニケーションをしっかりとることで、さらなるトラブルを防ぐことができます。
もし、パートナーがあなたの望まないことを強要し続けるのであれば、ほかの選択肢を考えたほうがいいかもしれません。それは、不健全な関係のサインになるかもしれないからです。心理カウンセラーや人間関係の専門家に相談したり、コミュニティで同じような経験を持つ人たちからアドバイスをもらうのもひとつの方法です。

 

 

For Sexuals/セクシュアルの方へ

パートナーがエイセクシュアルかもしれません。具体的に何をすべきですか?

すべての人間関係において、コミュニケーションは重要です。もし、パートナーがエイセクシュアルかもしれないと思ったら、相手が最も受け入れやすい方法で話し合う必要があります。パートナーが自らのエイセクシュアリティを隠したがっていたり、表に出したくないと感じている場合、そのことについて話し合うことを怖がる人もいます。彼らは、自分が壊れているとか、機能障害であるとか、非難されていると考えてしまうかもしれません。もし何から始めればいいのかわからない場合は、AVENコミュニティ内のセクシュアル・パートナー、友人、アライのためのフォーラム(英語のみ)に、この話題について実体験に基づいたアドバイスを提供できる人たちがいます。

ひとまず、不必要な衝突や緊張を避けるために一般的な付き合い方のルールがあります。まず、あなたが望んでいることをベースにして、エイセクシュアルのパートナーが望んでいることを決めつけないでください。また、 本人に直接聞いてパートナーの限界を尊重してください。

性行為が義務であるかのような雰囲気をつくらないようにしてください。もし、相手に心を開いてもらいたいと思うのであれば、あなたも相手と心を開いて接し、何を望んでいるのか(あるいは望んでいないのか)を聞くことが大切です。すべての健全な関係は、このような妥協を必要とするかどうかにかかわらず、互いを尊敬することで前進していきます。

 

わたしに性的に惹かれない場合、わたしを本気で愛していないということになりますか?

いいえ。もしパートナーが性的な魅力を感じていないのであれば、それはあなたに対してではありません。ましてや、あなたの問題ではありません。相手はあなたを心から愛しているのかもしれませんが、それは単に性行為と結びついていないというだけです。パートナーが性的な行為に本質的な欲求を持っていない場合、彼らはあなたの性的な魅力には惹かれないことを念頭においてください。

 

パートナーがエイセクシュアルであることは確かですが、それについて話そうとしません。どうすればいいのでしょうか?

関係に問題がある場合は、とにかくコミュニケーションが重要です。もしパートナーが話し合うことに抵抗があるのなら、彼らは自分と向き合うことにも抵抗があるのかもしれません。もし、なかなか心を開いてくれないのであれば、AVENやほかのサイトやリソースで、エイセクシュアルの知識や当事者の経験について学ぶことをすすめてみてください。

それでもうまくいかない場合は、別の方法を考える必要があるかもしれません。ずっと待っていても、ある日突然すべてがスムーズに進むとは思えません。お互いの関係性をもう一度見直して、ほかの選択肢を検討する必要もあるかもしれません。AVENには、セクシュアル・パートナーのためのフォーラム(英語のみ)があり、同じような境遇の人たちから、役に立つサポートや助言をうけることができます。

 

はじめは性行為ができたのですが、いまではすっかりなくなってしまいました。どうしてでしょうか。突然エイセクシュアルになるということはありますか?

性的指向は、大多数の人にとって一生涯にわたって変わらないものです。何らかの医学的問題や副作用による変化でない限り、「突然エイセクシュアルになる」ことは極めて稀です。とはいえ、エイセクシュアル(あるいは、どちらかというとエイセクシュアルに近いと感じる人)のなかには、性行為をためしてみたいという気持ちが高まる時期があります。しかし、その好奇心が弱まるにつれ、継続的な性的欲求をほとんど感じられなくなっていきます。また、一時的に性行為を行う時期があったとしても、許容範囲が狭まったり、性行為に対して否定的な感情が蓄積されたりすると、突然できなくなることもあります。ほかにも、最初は性行為が当たり前だと思っていたのに、自分自身を知るにつれてしなくなったという当事者もいるようです。これらの変化は、個人差が大きいので、根本的な理由を判断するのはパートナー次第です。

 

自慰行為やポルノを見ていますが、わたしとの性行為はしたがりません。これはどうしてですか?

一部のエイセクシュアルは、他者との性行為を望まない一方で、性的興奮を感じたり、刺激を求める性欲を持っていることがあります。また、他者との性交に対する魅力や欲求を感じないにもかかわらず、肉体的な開放感やストレス発散のために自慰行為をしたいと感じる人もいます。

 

エイセクシュアルがすること、しないことは、具体的になんですか? キスや抱きしめることは好きですか? 胸やお尻にさわることはどうですか?

エイセクシュアルのなかでも、どんな行為をするかは人それぞれです。キスやハグ、マッサージなど、体に触れることを楽しめるエイセクシュアルもいます。しかしこれに関しては、「性行為」と「性行為に近いこと」の区別がほとんどつきません。これは性的な境界線がどこにあるのかについての議論と同じくらい重要な問題であり、パートナー同士がコミュニケーションをとりながら適切な妥協点を見出すことが重要です。

 

エイセクシュアルのパートナーと一緒にいたいし、支えていきたいのですが、意見が一致しないことにとても疲れてしまいました。どうすればいいですか?

それぞれの相違点について話し合い、互いの要求や境界線を理解することはできるでしょう。しかし、あなたやパートナーの性的指向を魔法のように変えることはできません。こうした複雑な関係を維持するためには、やはりある種の歩み寄りが必要です。その歩み寄りがどのようなものかはカップルによってかなり異なります。どんなに努力しても、お互いが満足する形で折り合いがつかないこともあります。時には、お互いのため、あるいは家族への愛と責任のために我慢強く付き合っていく人もいます。逆に、関係を終わらせなければならない場合もあります。自分たちにとって最も健全な道を選びましょう。どんなに努力しても、お互いの要求するものがあまりにも違うということはあります。だからといって、誠実に交際を終わらせることに罪悪感を感じる必要はありません。 

 

 

 

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