AVENと海外のアセクシュアル情報を日本語で紹介するブログ—※Asexual はエイセクシュアルと表記

エース当事者が運営するブログです。AVEN(エイヴン)—The Asexual Visibility and Education NetworkのHPに掲載されているFAQやリソースを和訳して転載しています。和訳は、エイヴンのプロジェクトチームに承認されています。(2022) / その他エイセクシュアル(アセクシュアル)に関する情報を投稿します。 ※記事の無断転載はご遠慮ください。

Asexual研究——エイセクシュアルの社会的尊厳と権利について(翻訳)——参考文献とリソース

 米国セクシュアリティ教育者・カウンセラー・セラピスト協会(以下AASECT)は、エイセクシュアルやスペクトラムアイデンティティが、精神障害発達障害、性的障害ではないという立場をとっている。

それらは、トラウマや経験不足に対する反応ではなく、正当で完全なアイデンティティであり、性的指向だと主張する。人の性的指向を変えようとしたり、直そうとしたり、病的に扱うような、あらゆる修復療法や転換療法に、異議申し立てを行う。

 修復療法や転換療法とは、「治す」と称するあらゆるサービスや治療、あるいは、エイセクシュアルやエーススペクトラムのアイデンティティ精神障害であるという仮定のもとで、エイセクシュアリティの指向を変えようとする行為であると定義づけられる。

 AASECTは、多様なスペクトルの非同性愛の性的指向を治したり変えたりする必要はないと考えている。エイセクシュアルの人々は、文化的感受性の欠如と、西洋の文化における強制的なセクシュアリティの長い歴史が原因で、しばしば指向を肯定するサービスを手に入れる上で明らかに困難を強いられている。(Flanagan & Peters, 2020)

 

 DSMの初期版における同性愛を否定する診断基準と同様に、文化的なスティグマが蔓延しているため、エイセクシュアルの人々が自分の性指向を病理学的でない方法で理解することは難しい。

 同性愛者にとって、性欲の欠如は、ある種のストレスや症状となって現れる。他者に対する性的欲求がほとんどなく満足している場合、他者に対する性的魅力の欠如による苦痛よりも、社会的スティグマや偏見による苦痛を経験することが多い(Bogaert, 2006; Flanagan & Peters, 2020)

 

 エイセクシュアリティに関しては、大衆カルチャーによる多くの神話が存在している。エイセクシュアリティを捏造したもの、コンプレックス、未熟さの一種として蔑視したり、病理として扱ったり、生まれつきの孤独として捉える人もいる(Cerankowski & Milks, 2010)

 

 幸いなことに、現代の性教育者、カウンセラー、セラピストの多くは、こうした差別的な神話と、ヘテロセクシズムやシスセクシズムが蔓延させる神話との類似性を理解している。セクシュアリティの分野が、同性愛、性的流動性クィア指向、トランス・アイデンティティ、ノンバイナリー・アイデンティティを病理学的に位置づけることを非難してきたのと同じように、セックス教育者、カウンセラー、セラピストも、エイクシュアリティについて広まっている神話に関して同様のことをすべきである。

 アルフレッド・キンゼイ(Alfred Kinsey)の研究が発表されて以来、エイセクシュアルの推定割合は2%以下(約1~1.7%)で推移している(Bogaert, 2004; Kinsey, 1948; Miller 2011; Poston & Baumle, 2010; Rothblum, 2019)

 

 アルフレッド・キンゼイ(Alfred Kinsey)の研究が発表されて以来、エイセクシュアルの推定割合は2%以下(約1~1.7%)で推移している(Bogaert, 2004; Kinsey, 1948; Miller 2011; Poston & Baumle, 2010; Rothblum, 2019)。多くのセクシュアリティ専門家は、キンゼイの尺度が、性的魅力をほとんど感じないか全く感じない人々を識別するために、0から6の外側にXを含んでいたことを知らない。これは、世界的に緑色の目を持つ人々とほぼ同じ母集団である。人口数によって社会から排除されているコミュニティが、差別的な医療行為、誤った情報、社会的汚名によって、さらに追いやられることのないよう、特別な配慮が必要である。もし、カウンセラーやセラピストがエイセクシュアルであるクライエントと仕事をし、文化的に適切なケアを実践していないのであれば、セラピールームの外でクライエントが経験する社会的なストレス要因を強化している可能性がある(Carroll 2020; Chasin 2015; Rothblum et al.)

 

原文と参考文献→ https://www.aasect.org/asexual-rights