『エイセクシュアル(Asexual)』とは性的指向のひとつです。
LGBTQIA+のAはエイセクシュアルのエイです。
※日本では、「アセクシャル」、「アセクシュアル」とも呼ばれています。現時点では、名称にゆらぎが生じており、様々な呼ばれ方をされています。このブログでは、最も英語の発音に忠実な「エイセクシュアル」を採用しています。
エイセクシュアルとは、性的な魅力に惹かれたり、性的な関係への欲求を本質的に感じていない人のことです。
例えば、相手に恋愛感情があって、デートをしたい、恋人同士でいたい、などの気持ちがあったとします。その時、もし性的なコミュニケーション(基本的に性行為を指します)をしたくないと感じた場合、その人はエイセクシュアルかもしれません。
どの程度の性的な接触までOKなのかは、人によって差があります。
あるエイセクシュアルの人は、キスができます。
その一方でキスに拒絶反応があったり、ハグや手をぎゅっと強く握り合うこともしたくないと感じるエイセクシュアルの人もいます。
注意していただきたいことは、エイセクシュアルは、心の病気や潔癖症、性嫌悪や性機能障害ではないということです。
このことは、精神医学の分野でもしっかり証明されています。(少し難しい話しですが、精神医療で医師が使用している診断基準のマニュアル("DSM"と呼ばれる本の第五版)にエイセクシュアルが病ではないことが書かれてあります。)
*
自分の周りにエイセクシュアルの人は、どれくらいいると思いますか。
エイセクシュアルは、人口のおおよそ1%といわれています。100人のうち1人はエイセクシュアルの人だということになります。
エイセクシュアルである事が原因で人生が豊かになることも悲劇的になることもありません。受け止め方は自認した本人次第ですが、世界中の多くのエイセクシュアルの人が結婚して子供を持っています。
コミュニケーションとしての性行為はしないけれど、子供がほしくて行為する当事者は珍しくありません。エイセクシュアルとは、性的なトラウマや心の問題で性行為が出来なくなっている人たちのことではありません。
また、夫婦関係を持たず大切な人とパートナー関係を築いて、子供も持たず支え合っていく生き方を選んでいる人たちもいます。
*
世界中には、エイセクシュアルのコミュニティが沢山あります。ほかの性的少数者と同じように正当な性的指向なのです。
とくに、アメリカで発足したコミュニティに「エイヴン(AVEN)」という団体があります。世界最大のエイセクシュアルのオンラインコミュニティです。こんにちのエイセクシュアルの定義や啓発を世界中に広めてきた団体として知られています。
※エイヴンの正式名は“「The Asexual Visibility and Education Network (エイセクシュアルの可視化と教育ネットワーク)」といいます。世界最大のオンライン・エイセクシュアル・コミュニティと、エイセクシュアルに関する膨大な資料のアーカイブを運営しています。