AVENと海外のアセクシュアル情報を日本語で紹介するブログ—※Asexual はエイセクシュアルと表記

エース当事者が運営するブログです。AVEN(エイヴン)—The Asexual Visibility and Education NetworkのHPに掲載されているFAQやリソースを和訳して転載しています。和訳は、エイヴンのプロジェクトチームに承認されています。(2022) / その他エイセクシュアル(アセクシュアル)に関する情報を投稿します。 ※記事の無断転載はご遠慮ください。

(9)エイセクシュアルと性行為に対する考え方 / Asexuals and Attitudes Towards Sex

 

 

エイセクシュアルと性行為に対する考え方

エイセクシュアリティイデオロギーではなく、ひとつの性的指向のことです。エイセクシュアルの人は、社会的な意味でも、プライベートな関係においても、性行為に対してさまざまな考え方を持っています。ある人は、社会全体に対しては性的なことがらをオープンに受け入れつつ、個人では性的な行為をすることに抵抗があります。逆に、より 広範囲の社会的な意味において、性行為に対して保守的な考え方を持ちながら、人間関係のなかでは妥協することをよしとするエイセクシュアルの人もいます。考え方には、あらゆる組み合わせがあるでしょう。

 

性行為に対する文化的態度

性行為に関するカルチャーや社会に対する考え方は、エイセクシュアル・コミュニティと世間一般の両方において広く議論されているトピックです。これらの考え方は、しばしば3つのカテゴリーに分類されています。”セックス・ポジティブ”、”セックス・ニュートラル”、”セックス・ネガティブ”です。これらのカテゴリーに属する考え方や 価値観の例として、以下のようなものがあります。

 

セックス・ポジティブ:メディアやエンターテイメントにおける健全な性の描写、包括的な性教育、性的医療サービスへの幅広いアクセス、ふしだらな行為は認めない、性的ライフスタイルの受容(例:ポリアモリー、性交・フェチ、独身のセックスパートナーなど)

 

セックス・ニュートラル:メディアやエンターテイメントにおける性描写は控えめで過激でないこと、基本的な性教育、性的ライフスタイルは一般的にオープンにすべきでない。

 

セックス・ネガティブ:メディアやエンターテイメントにおける性的コンテンツの制限、性行為の話題は寝室にとどめるべき、性行為はコミットしたカップルの間でのみ健全、性教育は小規模で学校の授業ではなく両親から教わるべき。

 

 

性行為に関する個人の意識

エイセクシュアルの人は性的な魅力を感じず、性行為に対する欲求を本質的に持ちません。しかしだからといって、すべての当事者が性行為をしないわけではありません。多くのエイセクシュアルは、性的パートナーと交際しており、関係を健全に保つために、行為を楽しむ方法を模索しようとすることがあります。エイセクシュアルの人の性行為に対する考え方は、しばしば3つのカテゴリーに分けられます。"性行為に好意的な人"、"無関心な人"、"嫌う・拒絶する人"。エイセクシュアルの人がこれらのカテゴリーに当てはまるかどうかを決めるポイントとしては、以下のようなものが考えられます。

 

性行為に好意的な人:性的パートナーとのコミュニケーションを積極的にとろうとし、肉体的・精神的に性行為を楽しむことに前向きで、性的快感を得ることよりも与えたいと思う人。

 

性行為に無関心:時々なら妥協してもいいと思っている。肉体的・精神的にあまり性行為を楽しめないが、そのことを考えても苦にならない。性的な喜びを与えるのは好きだが、あまり親密とは感じない。

 

性行為の嫌悪/拒絶:性行為をすることを考えると苦痛を感じる、または、内臓が痛いと感じる、歩み寄りたくない(この表現は、自覚症状の程度に依存する可能性があるので注意が必要です。)

 

 

考え方の組み合わせ

これらのカテゴリーのいずれにも程度の差があります。例えば、ある特定の相手や状況下での性行為に対してのみ好意的なエイセクシュアルもいます。また、人生のどこかのタイミングで、特別な相手に対してだけそのような快適さを感じる人もいます。文化的態度の側面では、全体的に性行為に否定的な考えを持つ人が、あるトピックに対してはリラックスした態度をとるかもしれません。また、全体的に性行為に中立的であっても、包括的な性教育を強く支持する人がいるかもしれません。性的指向というのは、多くの人に共通する特徴です。しかし、性行為に対する考え方は、文化の変化、対人関係、人生経験などによって、時間とともに変化することがありえます。これは、エイセクシュアルとセクシュアルの人に共通することです。

 

 

 

 

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(8)グレイエリア / The Gray Area

 

 

グレイエリア

エイセクシュアルについての説明のすべてにしっくりきて、完璧にあてはまるわけではない人もいます。ほぼ、エイセクシュアルと感じるけれど、少し違うところがあるかもしれない。たまにセクシュアルな気分にもなる。エイセクシュアルではないにもかかわらず、エイセクシュアルのコミュニティに共感することがある。これらのような経験をする人は、グレイエリアと呼ばれます。正確には、エイセクシュアルではないけれど、エイセクシュアルと同じようなことを経験していて、大半の性的な人たちとは違うことを経験している状態です。
(注:「グレイ」のスペルは、 “Gray”と“Grey”のどちらでも可能です。)

 

グレイの人の特徴はなんですか?

グレイの人のなかには、過去に性的な行為体験をしたことがある人もいます。しかし、それは頻繁ではないことが多く、現在進行中の経験が含まれないこともあります。また、グレイエリアであると認識する人は、ぼんやりした頻度の低い性的な魅力を他者に感じるかもしれません。ですが、それを行為に移すことはしません。ただしこのことは、内面的な感情や経験を個人的に解釈することにもとづくとても主観的な話で、人によって違いがあります。共通点は通常、グレイエリアの人たちが、性的と認識するほとんどすべての人より、はるかに低い性的な魅力を感じているということです。

 

グレイセクシュアルはエイセクシュアルの仲間ですか?

この疑問は、しばしば取りあげられます。グレイセクシュアルの人たちは、ごくわずかな程度にしかエイセクシュアリティを感じていません。それは、厳密な意味でのエイセクシュアルの定義を満たしていないと考える人もいます。しかし、AVENを含むエイセクシュアル・コミュニティのほとんどは、当初からグレイセクシュアルの人々を歓迎してきました。また、自分の体験がエイセクシュアルに近いと感じる人は、グレイエイセクシュアルやグレイ・エイ、グレイエースと名乗ることもあります。

 

デミセクシュアルは、グレイセクシュアルの仲間ですか?

デミセクシュアルとは、強い感情的な絆が確立されていない限り、他者に性的な魅力を感じない人のことです。グレイセクシュアルのカテゴリーに含まれたり、グレイセクシュアルとペアになって語られることが多いのは、デミセクシュアルの人が絆を確立するのに長い時間がかかることが多いためです。そのような場合、デミセクシュアルの人は、自分がエースの仲間であると感じることがあるようです。

 

グレイセクシュアルは、ほかの性的指向やロマンティックな指向と組み合わせることができますか?

はい、もちろんです。人によっては、自分が惹かれる性的な対象が特定の性別と結びついていることに気づくかもしれません。例えば、グレイ-ホモセクシュアルまたはグレイ-ヘテロセクシュアルなどと名乗ることもできます。また、グレイセクシュアルの人たちは、自分が恋愛対象としている性別を特定できるロマンティックな指向を持つこともできます。

 

AVENではグレイセクシュアルは歓迎されますか?

もちろんです!  エイセクシュアル・コミュニティは、性に関する複雑なトピックについて、多くの仲間と経験を共有することで成り立っています(ここでは、性的体験の不足や欠如についても話せます)。コミュニティでは、共通の話題をとても幅広いグループから見つけることができます。AVENでは、グレイの人たちは常に歓迎されています。なぜなら、グレイの人たちの多くは、人生のどこかでエイセクシュアルであると感じたことがあるからです。AVENには「グレイエリア」、「性行為に関連するディスカッション」というフォーラムがあり、関連のトピックや経験について議論することができます。(注意:そのサブフォーラム“The Sex Talk”では、過激な表現や デリケートな内容が議論されている可能性があります。) 

 

 

 

 

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(7)ロマンティック・オリエンテーション / Romantic Orientations

 

 

ロマンティック・オリエンテーション(恋愛的指向)

エイセクシュアルの人のなかには、性的な魅力を感じないにもかかわらず、他者に対してロマンティックな感情(恋愛感情)を抱いたり、恋愛関係を持ちたいと思う人がいます。そのため、自分の指向を伝えるために、性的な魅力とロマンティックな魅力を分ける”スプリット・アトラクション・モデル”を使用する人もいます。性的指向と同じように、ロマンティックな指向も、その人が自分の性別に照らし合わせて、どの性別にロマンティックに惹かれるかで語られることが多いです。

 

ヘテロロマンティック:異性にロマンティックな魅力を感じる。または、恋愛関係を望む。

・ホモロマンティック:同性にロマンティックな魅力を感じる。または、恋愛関係を望む。

・バイロマンティック:複数の性別に対してロマンティックな魅力を感じる。または、恋愛関係を望む。

・パンロマンティック:性別に関係なくロマンティックな魅力を感じる。または、恋愛関係を望む。

・アロマンティック:恋愛に対してまったく魅力を感じず、恋愛関係を望まない。

 

また人によっては、ロマンティックという接尾語を使って、より具体的に恋愛に対する魅力や 欲求を伝えることもあります。一般的に、自分のセクシュアリティを説明するときに使う接頭語と同じものをロマンティックな指向を説明するときにも使うことができます。例えば、グレイロマンティックやデミロマンティックなどです。

性的指向とロマンティックな指向の分類は、決してエイセクシュアルに限ったことではありませんが、このふたつの用語はエイセクシュアルのコミュニティでより多く使われています。というのも、一般の人々にとって、性的指向とロマンティックな指向は同じ言葉のなかに含まれていることがほとんどで、両者を分ける必要性があまりないからです。しかし、セクシュアルの人たちも、性的指向とロマンティックな魅力を分けて考えることで望ましい人間関係や他者への気持ちをより明確に伝えることができます。例えばこれは、特に、アロマンティックの人にとって、性的指向が何であろうと、なぜ自分が恋愛関係に惹かれないのかを説明するのに役立ちます。

 

 

 

 

 

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(6)人間関係についてのFAQ/Relationship FAQ

General Questions/一般的な質問

エイセクシュアル同士は、恋愛関係をうまく築くことができますか?

はい、できます。エイセクシュアルの人も恋愛感情を持ち、その感情を中心に恋愛関係を築くことができます。ただ、エイセクシュアルの人口は少なく、性格も人それぞれなので、気の合う相手を見つけるのはむずかしいかもしれません。しかし世界中に、エイセクシュアルのカップルの成功例はあります。

 

エイセクシュアルとセクシュアルの恋愛関係は成立しますか?

はい、もちろんです。性的な魅力を感じなくても、お互いにロマンティックな魅力を感じることはできます。このことは、複雑な関係にさらなる困難をもたらすこともあるかもしれませんが、うまくいく関係を保つ方法を見つけていくことはできます。エイセクシュアルの人のなかには、恋愛がうまくいかないと最初から決めつけてしまう人もいて、他者と付き合うことを避けたがる人もいますが決してそんなことはありません。

 

エイセクシュアルの人は、誰とも親しくなれないのでは。性行為なしで、どうやって付き合えるというのでしょうか?

興味深い事実!:科学的な研究によれば、性的な魅力とロマンティックな魅力は、脳内にそれぞれ異なる影響をもたらしています。性的な欲求と恋愛感情は、脳の異なる部分が作用している可能性があるそうです。エイセクシュアル研究の第一人者であるアンソニー・ボガート博士はこれについて、人類の進化の過程のさまざまな段階から生じてきたものだと説明しています。多くのカップルにとって、性的なことをしたい欲求と恋愛感情は別々に感じることができても、親密な関係を保つために明らかに結びついています。しかし、エイセクシュアルの人は、パートナーとの性的なつながりを必要とせず、ロマンティックな魅力や親しさだけを感じています。
エイセクシュアルの人は、性的な行為以外の、感覚的な行為によって喜びを感じることがあります。例えばこれは、抱き合ったり、キスをしたりで(つまり性行為とは程遠い肉体的な接触や抱擁のようなもの)そうすることで欲求を満たしたいと思う人もいます。求める親密さの程度は当事者によって異なります。

 

エイセクシュアルでありながら、レズビアン、ゲイ、バイであることは可能ですか?

はい。エイセクシュアルであっても、ホモロマンティック、バイロマンティック、パンロマンティックといったロマンティックな魅力や欲求を経験し、それを自認することが役に立つ場合があります。レズビアン、ゲイ、バイ、パンなどのラベルは、性的、恋愛的(ロマンティック)、その両方において使用できます。

 

エイセクシュアルの人が恋愛関係を望むのはなぜですか?

多くの当事者は、恋愛を通じた深いつながりを望み、他者に対してロマンティックな魅力を感じている場合があります。科学的には、性的魅力と恋愛的魅力は、人類の進化の歴史のなかで異なる時期に発達してきたとされています。その結果、性的魅力と恋愛的魅力は脳の異なる部分を占めるようになったと考えられています。このことは、一部のエイセクシュアルの人が依然として恋愛関係を望んでいることを裏付けています。性的な接触をせずに恋愛関係を追求することは、エイセクシュアルの人にとってごく自然なことです。

 

性的にも恋愛的にも関係を望んでいません。友人関係だけです。それでもいいのでしょうか?

はい、もちろんです。性的指向と同様にロマンティックな指向もまたさまざまです。ロマンティックな指向(恋愛的指向)は、特定の性別(ホモロマンティックまたはヘテロロマンティック)、複数の性別(バイロマンティックまたはパンロマンティック)、誰に対しても向けられていない(アロマンティック)などである可能性があります。

アロマンティックの人々は、恋愛的な愛情や関係の必要性を感じていません。代わりに、プラトニックな関係によって満たされていると感じることがあります。そしてアロマンティックの人たちは、必ずしも感情を出さないとか、孤独であるというわけではありません。アロマンティックの人のなかには友情を超えた深い絆を築く人もいます。これらは一般に、「クィアプラトニックな関係」と呼ばれます。

 

セクシュアルとエイセクシュアルの人間関係は、どうすればうまくいくのでしょうか?

お互いが妥協することで、お互いの求めるものに応えられるような関係を築く方法はたくさんあります。エイセクシュアルの人も性行為に対する考え方はさまざまです。中には、パートナーとの性交にある程度の制限をもうけることで、歩み寄ることができる人もいます。例えば、頻度を少なくすることで同意したりする場合もあります。また、ポリアモリー*などを選択するカップルもいます。この場合、エイセクシュアルの人が性的なパートナーと性的なことをせずに恋愛関係で結ばれていながら、ほかの手段でパートナーの性欲を満たすことができます。

お互いが納得のいく範囲で折り合いをつけることが重要です。すべてのエイセクシュアルの人が性行為をよしとするわけではありませんし、むしろ性行為を妥協することが嫌悪感やトラウマとなる可能性もあります。持続可能な関係を築くには、お互いの願望、懸念、個人的な限界を話し合うことが重要です。

*ポリアモリーとは、関係するすべてのパートナーの十分 な同意を得た上で、同時に複数の親密な関係を持つことです。この反対はモノアモリーで、ひとりの人とだけ親密な関係を持つことです。

 

 

For Asexuals/エイセクシュアルの方へ

付き合いたい人がいますが、相手がセクシュアルであることは確信しています。どうすれば誤解されずにアプローチできますか?

まず第一に相手に対して正直になることです。自分が心地よいと思うことや、境界線がどこにあるのかを率直に話してみてください。デートの過程は、パートナーになる可能性のある人との相性を探るものです。あなたが相手のことを好きで、恋愛的な興味があっても、性的指向の相性が合わなければ破談になりかねません。そのような場合は、早い段階からエイセクシュアルであることを打ち明けることで、傷つく時間を少なくすることができるということを多くの当事者が経験しています。性的な人との関係を成功させることは可能ですが、そのためには、正直さとコミュニケーションという、ほかの人間関係と同じ原則を守ることが大切です。

 

エイセクシュアルだと打ち明けたのに、パートナーがわたしに性的に惹かれているということは、相手は私に対して体だけの関係を考えていて、わたしを本当に愛してくれていないということですか?

そんなことはありません。人は、相手に対して性的魅力と恋愛的魅力の両方を経験することができます。そしてそのどちらも「肉体的」な要素に基づくものとは限りません。多くのセクシュアルな人々にとって、性的な親密さは、ロマンティックな愛情や深い信頼の感情を呼び覚まします。あなたに対して性的な感情を抱いたとしても、その人があなたに惹かれ、あなたと一緒にいたいと願うほかの理由が失われるわけではありません。

性行為を主たる目的として交際する人もなかにはいますが、そのような人はエイセクシュアルの人と交際してもうまくいかない可能性があります。

 

付き合ってきたこと——例えば、いちゃついたり、キスしたり、高級レストランに連れて行ってもらったりしたことで、相手に対して性行為の借りをつくっていますか?

まず明確にしておきますが、セクシュアルでもエイセクシュアルでも、相手が何をしたかに関係なく、したくない性行為をする義務はありません。

セクシュアルの人と同じように、いちゃつく、キスする、デートするなどの恋愛行為や官能的な行為を楽しむことができるエイセクシュアルの人もいます。親密な関係になる前に、性的な行為に対する意思表示を明確にすることで、お互いに悲しむことを避けることができます。相手の期待がふくらむまえに、はっきりと伝えておきましょう。しかしもし、この点がはっきりしていなくても、あなたには「ノー」と言う権利があります。セクシュアルのパートナーの短期的な満足は、エイセクシュアルのあなたの健康に及ぼすかもしれない長期的な影響ほど重要ではありません。

 

パートナーは、やりたくない性的なことをするように、わたしにプレッシャーをかけています。この緊張をとくにはどうすればいいですか?

たとえパートナーを喜ばせるためであっても、やりたくないことをする義務はありません。尊重されるべき境界線があることをはっきりと伝えておくことが必要です。もしあなたがパートナーの性的な要求を満たすために妥協してもよいと思うのであれば、すべてをはっきりと説明したうえで、どこまでが限界か相手に理解してもらう必要があります。人間関係で起こる多くの問題と同じように、コミュニケーションをしっかりとることで、さらなるトラブルを防ぐことができます。
もし、パートナーがあなたの望まないことを強要し続けるのであれば、ほかの選択肢を考えたほうがいいかもしれません。それは、不健全な関係のサインになるかもしれないからです。心理カウンセラーや人間関係の専門家に相談したり、コミュニティで同じような経験を持つ人たちからアドバイスをもらうのもひとつの方法です。

 

 

For Sexuals/セクシュアルの方へ

パートナーがエイセクシュアルかもしれません。具体的に何をすべきですか?

すべての人間関係において、コミュニケーションは重要です。もし、パートナーがエイセクシュアルかもしれないと思ったら、相手が最も受け入れやすい方法で話し合う必要があります。パートナーが自らのエイセクシュアリティを隠したがっていたり、表に出したくないと感じている場合、そのことについて話し合うことを怖がる人もいます。彼らは、自分が壊れているとか、機能障害であるとか、非難されていると考えてしまうかもしれません。もし何から始めればいいのかわからない場合は、AVENコミュニティ内のセクシュアル・パートナー、友人、アライのためのフォーラム(英語のみ)に、この話題について実体験に基づいたアドバイスを提供できる人たちがいます。

ひとまず、不必要な衝突や緊張を避けるために一般的な付き合い方のルールがあります。まず、あなたが望んでいることをベースにして、エイセクシュアルのパートナーが望んでいることを決めつけないでください。また、 本人に直接聞いてパートナーの限界を尊重してください。

性行為が義務であるかのような雰囲気をつくらないようにしてください。もし、相手に心を開いてもらいたいと思うのであれば、あなたも相手と心を開いて接し、何を望んでいるのか(あるいは望んでいないのか)を聞くことが大切です。すべての健全な関係は、このような妥協を必要とするかどうかにかかわらず、互いを尊敬することで前進していきます。

 

わたしに性的に惹かれない場合、わたしを本気で愛していないということになりますか?

いいえ。もしパートナーが性的な魅力を感じていないのであれば、それはあなたに対してではありません。ましてや、あなたの問題ではありません。相手はあなたを心から愛しているのかもしれませんが、それは単に性行為と結びついていないというだけです。パートナーが性的な行為に本質的な欲求を持っていない場合、彼らはあなたの性的な魅力には惹かれないことを念頭においてください。

 

パートナーがエイセクシュアルであることは確かですが、それについて話そうとしません。どうすればいいのでしょうか?

関係に問題がある場合は、とにかくコミュニケーションが重要です。もしパートナーが話し合うことに抵抗があるのなら、彼らは自分と向き合うことにも抵抗があるのかもしれません。もし、なかなか心を開いてくれないのであれば、AVENやほかのサイトやリソースで、エイセクシュアルの知識や当事者の経験について学ぶことをすすめてみてください。

それでもうまくいかない場合は、別の方法を考える必要があるかもしれません。ずっと待っていても、ある日突然すべてがスムーズに進むとは思えません。お互いの関係性をもう一度見直して、ほかの選択肢を検討する必要もあるかもしれません。AVENには、セクシュアル・パートナーのためのフォーラム(英語のみ)があり、同じような境遇の人たちから、役に立つサポートや助言をうけることができます。

 

はじめは性行為ができたのですが、いまではすっかりなくなってしまいました。どうしてでしょうか。突然エイセクシュアルになるということはありますか?

性的指向は、大多数の人にとって一生涯にわたって変わらないものです。何らかの医学的問題や副作用による変化でない限り、「突然エイセクシュアルになる」ことは極めて稀です。とはいえ、エイセクシュアル(あるいは、どちらかというとエイセクシュアルに近いと感じる人)のなかには、性行為をためしてみたいという気持ちが高まる時期があります。しかし、その好奇心が弱まるにつれ、継続的な性的欲求をほとんど感じられなくなっていきます。また、一時的に性行為を行う時期があったとしても、許容範囲が狭まったり、性行為に対して否定的な感情が蓄積されたりすると、突然できなくなることもあります。ほかにも、最初は性行為が当たり前だと思っていたのに、自分自身を知るにつれてしなくなったという当事者もいるようです。これらの変化は、個人差が大きいので、根本的な理由を判断するのはパートナー次第です。

 

自慰行為やポルノを見ていますが、わたしとの性行為はしたがりません。これはどうしてですか?

一部のエイセクシュアルは、他者との性行為を望まない一方で、性的興奮を感じたり、刺激を求める性欲を持っていることがあります。また、他者との性交に対する魅力や欲求を感じないにもかかわらず、肉体的な開放感やストレス発散のために自慰行為をしたいと感じる人もいます。

 

エイセクシュアルがすること、しないことは、具体的になんですか? キスや抱きしめることは好きですか? 胸やお尻にさわることはどうですか?

エイセクシュアルのなかでも、どんな行為をするかは人それぞれです。キスやハグ、マッサージなど、体に触れることを楽しめるエイセクシュアルもいます。しかしこれに関しては、「性行為」と「性行為に近いこと」の区別がほとんどつきません。これは性的な境界線がどこにあるのかについての議論と同じくらい重要な問題であり、パートナー同士がコミュニケーションをとりながら適切な妥協点を見出すことが重要です。

 

エイセクシュアルのパートナーと一緒にいたいし、支えていきたいのですが、意見が一致しないことにとても疲れてしまいました。どうすればいいですか?

それぞれの相違点について話し合い、互いの要求や境界線を理解することはできるでしょう。しかし、あなたやパートナーの性的指向を魔法のように変えることはできません。こうした複雑な関係を維持するためには、やはりある種の歩み寄りが必要です。その歩み寄りがどのようなものかはカップルによってかなり異なります。どんなに努力しても、お互いが満足する形で折り合いがつかないこともあります。時には、お互いのため、あるいは家族への愛と責任のために我慢強く付き合っていく人もいます。逆に、関係を終わらせなければならない場合もあります。自分たちにとって最も健全な道を選びましょう。どんなに努力しても、お互いの要求するものがあまりにも違うということはあります。だからといって、誠実に交際を終わらせることに罪悪感を感じる必要はありません。 

 

 

 

Link to original source : https://asexuality.org/?q=relationship.html

(5)ご家族・ご友人向け / FAQ for Family&Friends

ご家族・ご友人向け/FAQ for Family&Friends

 

エイセクシュアリティとはそもそも何ですか?

エイセクシュアリティとは、性的な魅力やパートナーとの性交に対する本質的な欲求がないこと、と定義されている性的指向のことです。ほかの性的指向は、性別によって惹かれる方向性が決まっています。(例:異性愛者=異性に性的な魅力を感じる)しかし、エイセクシュ アルは、「性的」な部分をもっていません。つまり、どのジェンダーにも性的に惹かれないということです。異性愛と同性愛が正反対であるように、エイセクシュアル(どのジェンダー にも惹かれない)は、バイ(複数のジェンダーに惹かれる)あるいは、パンセクシュアル (すべてのジェンダーに惹かれる)の反対とみなすことができます。

 

なぜ、エイセクシュアルだとカミングアウトする必要があるのでしょうか?  

エイセクシュアルの人は、自分のセクシュアリティについて周囲に打ち明けたいと考えることがあります。その理由はその人によってさまざまですが、自分をもっと理解してほ しい、本当の姿を見てほしい、と思うっている当事者は少なくありません。そして、エイセクシュアルであることは、自分にとって自然なことであり、問題や障害ではないから安心してほしい、と伝えたいのかもしれません。

 

若者がエイセクシュアルであることは、ただの反抗期でそのうち気が変わるのではないでしょうか? 十代や二十代が 自認するには、あまりに幼すぎると思います。

エイセクシュアリティは、ほかの指向と同様に成人しても生涯を通して変わりません。当事者にによっては、 自分の性的指向に疑問を抱く不安定な時期がある人もいます。しかしその一方で、思春期の頃から自分の指向がエイセクシュアルだと確信を持っている人もいます。

 

性的虐待・抑圧された同性愛・精神的な問題などが原因でエイセクシュアルになることは有り得ますか? また、精神科に通わせるべきでしょうか?

エイセクシュアリティは、精神的な問題や障害ではなく正当な性的指向です。確かに、当事者のなかには、過去に性的トラウマを経験したり、精神的な悩みを抱えていた人もいます。しかし、それらが必ずしもエイセクシュアリティと関連しているわけではありません。実際、2015年のエイセクシュ アル・コミュニティ調査によると、エース回答者(当事者)のうち、エイセクシュアルであることがメ ンタルヘルスの専門家にかかるきっかけになったと答えた人はわずか5%でした。

 

親・親戚・友人として、なにかいけないことをしたのが原因ですか?

いいえ。エイセクシュアリティの原因は子育てにはありません。親として、親戚として、友 人として、あなたにできる最善のことは、愛と理解のある環境を与えてあげることです。そし て、彼らが自分自身に自信を持つことができるように、エイセクシュアルであることを肯定してあげることです。

 

エイセクシュアルの人は愛を育むことができないということですか?

いいえ、そうではありません。エイセクシュアルは、性的なことに魅力を感じないだけで、他者に対する愛情はとても深く豊かです。エイセクシュアルであっても、恋をしたいという気持 ちはありますし、当事者はさまざまな仕方で恋愛を楽しんでいます。

 

もしエイセクシュアルの人が不幸になっていた り、孤独を感じていたらどうするべきですか?

健康的な生活を送るには、ありのままの自分でいられることが一番です。エイセクシュアルの人をサポートする最善の方法は、彼らの指向を受け入れ、彼らが彼らのままで、やりたいことを続けられるように応援することです。いずれにせよ、エイセクシュアルの人もほかの人と同じように幸せになることができます。

 

親族・近所の人々・学校の先生などに言うべきですか?

エイセクシュアルであることを周囲の誰に知ってもらうかは、当事者の判断になります。非常にオープンで積極的に語る人もいれば、より内密に伝える人もいます。この違いは、当事者の性格や他人からの評価に対する不安などが背景にあります。また、カミングアウトの時期と方法は、その人の人生に大きな影響を与える可能性があるため、本人の意志に委ねることが重要です。当事者の許可なく性的指向を開示することは「アウティング」と呼ばれ、人間関係や人生にトラブルを引き起こす要因となるため注意してください。

 

性交をしたことがない子供や友人が、どうしてエイセクシュアルだといえるのですか?

多くのエイセクシュアル当事者は、自分が他者に性的な魅力を感じないこと、あるいは、他者と性的な関係を持ちたいと思わないことを強く自覚しています。エイセクシュアルの人が、したくない性交を無理に行うことによって、エイセクシュアルであることを証明する必要はまったくありません。

ただ、性行為をしてみて自分はエイセクシュアルだと思うようになる人もいるでしょう。 そうだとしても、性交の経験を他人と比較して、その人がエイセクシュアルであるとか、そうでないとか判定を下すことはできません。

 

性行為をする人をきらったり、軽蔑するようになるのでしょうか?

いいえ。エイセクシュアリティとアンチ・セクシュアリティはまったく異なります。アンチ・セクシュ アリティは、セックス・ネガティブとも呼ばれることがあり、社会一般におけるセクシュア リティを否定する意見のことをさします。他方で、エイセクシュアルは、ほかの人との性行為に本質的な魅力や欲求を感じないという性的指向のことです。

人によっては、エイセクシュアルであると同時にアンチ・セクシュアルやセックス・ネガティブである可能性はあります。しかし、広範な社会における健全なセクシュアリティを支持するのであれば、エイセクシュアルであると同時にセックス・ポジティブであるはずです。エイセクシュアルの人も、社会における「性的」なことを受け入れる意義を理解することができます。

 

性交とは自然な営みです。いったい何を恥じたり恐怖を感じたりする のですか?

エイセクシュアルの人は、性交を恥ずかしいと思ったり、恐れたりしているのではなく、ただ単に本質的に関心がないというだけです。一般的に、性交は多くの人々にとって当たり前にあるものです。しかしエイセクシュアルの人はその中の例外です。多くの人が恥ずかしいとか、怖いと思う「初体験」からスタート します。セクシュアルな人にとっては、性交に慣れるまでに、気まずい初体験を乗り越えるのが普通で、それがその後の性への原動力にもなっていきます。ですがエイセクシュアルの人は性に駆り立てられることはありません。気まずい初体験を乗り越えても、それはずっと変わりません。性に対する関心がおこらないことは、エイセクシュアルの自然な状態です。

 

エイセクシュアルの家族・友人をもっと助けるにはどうしたらいいでしょうか?

支えてください。彼らの話に耳を傾けてください。エイセクシュアリティが正当な指向であることを認めてください。ありのままの自分でいていいんだよ、と言ってあげてください。 彼らが自分自身のアイデンティティと折り合いをつけるために、必要な時間と空間を与えてください。やりたくない性交や性的なことを試すようにプレッシャーをかけないでください。そして彼らのプライバシーを尊重してください。

エイセクシュアリティの認知度が高まるように、周囲に働きかけてください。家族、友人、教育関係者、地域社会がエイセクシュアルやエース・アンブ レラの人たちのためにできることはたくさんあります。しかし最も具体的なことは、ただ耳を傾け、ありのままの彼らを受け入れてあげることです。

 

 

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(4)よくある質問 / General FAQ

 

 

 

定義/Definitions

エイセクシュアル(Asexual):性的な魅力に惹かれたり、性的な関係への欲求を本質的に経験しない人。(または、そのような人を表す形容詞)

 

デミセクシュアル(Demisexual):感情的な強い絆ができたときだけ性的な魅力や欲求を経験することができる人 。(または、そのような人を表す形容詞)これは、ある条件を満たすまで性行為を控えるという選択とは異なる。

 

グレイ・エイセクシュアル(グレイ・エイ)またはグレイ・セクシュアル(Gray-asexual (gray-a) or gray-sexual):エイセクシュアリティセクシュアリティの中間にあてはまる人。(または、そのような人を表す形容詞)グレイの人はごくまれに、性的な魅力に惹かれていると感じることがある。しかしその程度と頻度は低く、人間関係において性行為や性的スキンシップを重要視していない人々も当てはまる。(注:“gray” / “grey”のスペルは国によって異なる場合がある)

 

アロセクシュアル(Allosexual):性的魅力や性的な関係を持ちたいという本質的な欲求を経験している人。(または、そのような人を表す形容詞)この言葉は単に、「セクシュアル/性的」と呼ばれることもある。

 

アトラクション・魅力(Attraction):人と人を引き合わせる心理的または感情的な力。これは、性的、ロマンティック、美的、感覚などの種類に分けられる。通常、魅力は、特定の人、特定のタイプの人、または個人的な感情に向けられている。エイセクシュアルは性的な魅力に惹かれることはないが、ほかの種類の魅力を感じることがある。 

 

美的魅力(Aesthetic attraction):相手の外見に惹かれること。恋愛感情や性的欲求をともなわない。

 

ロマンティックな魅力・恋愛的指向(Romantic attraction):他者と恋愛関係になりたいと望んだり、相手に強い恋心や愛情を寄せること。

 

感覚的魅力(Sensual attraction):性的でなく、性行為につながらない、愛情のこもったボディタッチ、ハグ、キスなど、誰かと身体的な接触を持ちたいと望むこと。

 

性的魅力(Sexual attraction):誰かと性的に触れあいたいという欲求 。通常、エイセクシュアルの人は性的魅力を感じないが、人間関係を築く上で時間とともに徐々に進展することもある。そのような場合、デミセクシュアルやグレイセクシュアルに当てはまる人もいる。

 

性的指向(Sexual orientation):性的な魅力を感じる性別、または感じない性別の傾向にもとづいたアイデンティティのこと。例えば、ヘテロセクシュアルホモセクシュアルバイセクシュアル、パンセクシュアル、エイセクシュアルなど。

 

ロマンティックな指向/恋愛的指向(Romantic orientation):恋愛対象になる性別の傾向にもとづいたアイデンティティのこと。例えば、ヘテロロマンティック、ホモロマンティック、バイロマンティック、パンロマンティック、またはアロマンティックなど。人によっては、異なる性的指向とロマンティックな指向を持っている場合がある。(例:バイロマンティックでエイセクシュアルなど。)

 

スペクトラム(Spectrum):エイセクシュアルからセクシュアルまでの、セクシュアリティの強さの範囲をそのように呼ぶことがある。「エイセクシュアル・スペクトラム(エース・スペクトラム)」という用語が使われることもある。これに属する人たちは、ほかの性的アイデンティティよりも、エイセクシュアルであることをより強く認識している。

 

エイセクシュアル・アンブレラ(Asexual umbrella):デミセクシュアルやグレイセクシュアルのようなエイセクシュアリティに近いアイデンティティが、エイセクシュアルと幅広いコミュニティで密接につながっていること。

 

エース(Ace):エイセクシュアルまたはエイアセクシュアル・アンブレラの人々に対するカジュアルな呼び方。エイセクシュアル当事者の愛称。ネットスラング

 

クィアプラトニックな関係(Queerplatonic relationship):ロマンティックでもセクシュアルでもなく、友情を超えた感情的な絆にもとづく献身的な関係を指す。アロマンティックやエイセクシュアルの人の間でしばしば使われる。

 

 

 

体験談/Experiences

わたしはエイセクシュアルですか?

これは、あなたがご自身で答えを出す問いです。エイセクシュアルの定義は、「性的な魅力や性的関係を持ちたいという本質的な欲求をほとんど感じない人」です。そして、デミやグレイなども含め、どのラベルが一番自分に合っているのかを決めることができるのはあなただけです。FAQとAVENの他の資料を読むことで、あなたはエイセクシュアルかどうかを判断することができるかもしれません。また、他の人と一緒にご自身の体験やエイセクシュアリティこのことについて考えてみることもおすすめします。

 

誰にも性的な魅力を感じません。それは、エイセクシュアルであることを意味するのでしょうか?

定義からすると、そうです。エイセクシュアルというラベルを使うかどうかはあなた次第ですが、この指向が自分に合うかどうか、自分の体験と一致するかどうか、調べてみることをおすすめします。AVENフォーラムをはじめ、情報を得るために利用できるエイセクシュアルのリソースはネット上でも増えています。(英語圏ではYouTuberやインフルエンサーを容易に見つけることができます。)

 

ある人が魅力的であることは理解できますが、仮に交際に発展したとしてもその人と性行為する必要性をあまり感じません。わたしはどのラベルに当てはまりますか?

例えば、性的に惹かれを感じずとも美しいと思う人を見つけることもできます。エイセクシュアルの人は、性的な魅力は感じないものの、その人のことを美人/セクシー/かっこいい、などと思うことがあります。エイセクシュアかどうかは、結局のところ、性行為をしたい欲求があるかどうかに行き着きます。もし、あなたがそのように感じていないのであれば、相手に対する魅力は性的なものではありません。何か別の魅力に惹かれているのだと思います。

 

生まれてこのかた、3人くらいにしか惹かれたことがありません。その時は、性行為したいと思いました。セクシュアルとエイセクシュアルのどちらになりますか?

エイセクシュアリティセクシュアリティは、決して白黒はっきりつけることはできません。「エイセクシュアル」の境界線と「セクシュアル」の境界線の間には、セクシュアリティの度合いに応じて広い範囲が存在します。その範囲を「グレイエリア」と呼ぶことができます。グレイエリアにいる人の多くが、自分はセクシュアルよりもエイセクシュアルに近いと感じています。彼らは自らをグレイ、グレイセクシュアル、グレイエイセクシュアル、グレイ・エイと名乗ることがあります。また単に、エイセクシュアルと名乗ることもありますが、それはそのほうが相手に伝わりやすい場合でしょう。例えば、自分がグレイエリアに当てはまるかもしれないと思いつつ、エイセクシュアルと名乗っている人の多くは、人生において性的な魅力を感じた頻度が極めて少ないことが多いようです。

また、エイセクシュアルの人が性行為をしたいと意思表示したり、性行為をする場合には、その背後にさまざまな理由があることに注意してください。恋愛中のエイセクシュアルのなかには、パートナーに愛情を示す方法として性行為を選ぶ人もいるでしょうし、相手を喜ばせたい人もいるかもしれません。子どもが欲しかったり、性交を経験してみたいと思ったり、さまざまな事情から性行為をしたいと思うエイセクシュアルがいます。しかし、それらは大多数の人が一般的に考える理由とは本質的に異なります。

 

相手をよく知ってからでないと、心からその人に惹かれることはありません。これはエイセクシュアルの仲間ですか?

ある条件を満たしたり、ある程度の交際関係に発展するまでは、他人と性行為をしないという選択は一般的です。しかし、ごく一部の人々は、親密な絆ができるまで、誰に対してもいっさいの性的な魅力を感じなかったり性行為をしたいと考えません。このような経験をしている人のなかには、「デミセクシュアル」と自認する人が増えています。デミセクシュアルの人々は、エイセクシュアルと似たような体験をしているため、エイセクシュアル・コミュニティとつながっていることが多く、一般的にはエースの仲間に含まれることが多いです。しばしばそれは「エース・アンブレラ」と呼ばれています。

 

あることに性的に興奮することがありますが、それは人付き合いとは関係なく起こります。この場合、エイセクシュアルではないということですか?

「エイセクシュアル」とは、性的興奮を感じることがあっても、誰かと性行為をすることに本質的な興味や欲求を抱かない人のことをいいます。人によっては、性的に興奮する行動や、性的な感情を持っているかもしれませんが、それは他者との性行為を望むことにつながりません。多くの人が、自慰衝動などのなんらかの形で性的な興奮を経験しながらも、エイセクシュアルであることを自認しています。彼らはただ、ほかの誰かと性的な関係になりたいという欲求を感じていないだけです。

 

過去によく、性的な魅力に惹かれたことがあります。これは、エイセクシュアルでないことを意味していますか?

性的指向流動性は議論の対象でありさまざまな意見があります。一般論として、多くの人が、年齢、医学的な問題、人生の変化などによって、自分のセクシュアリティに揺らぎを感じる時期があります。必ずしも性的指向が変化するとは限りませんが、なかには、ある性的指向から別の指向への変化を経験する人もいます。どのラベルが、もっとも自分に適しているかを考えた上で、自分のアイデンティティを決めることができるのは自分だけです。このことは、エイセクシュアルに限らず、すべての指向に共通していえることとして知られています。また、人生のさまざまな局面で異なる性別に魅力を感じ、それがきっかけでアイデンティティのあり方を変えることもあるかもしれません。

 

セクシュアリティが段階的に変化します。あるときはセクシュアル、あるときは完全にエイセクシュアルです。エイセクシュアルコミュニティの中に居場所があるのでしょうか?

居場所はあります。エイセクシュアルコミュニティに関わることで、当事者と同じような経験や視点を共有するようになる人もいます。改めて自分をデミセクシュアルやグレイセクシュアルと認識するようになる人もいます。エイセクシュアルコミュニティは、当事者でなくとも、どのような人であっても、経験を共有したり他の人と絆を深めるために利用することができます。多くの人がエイセクシュアルを機能障害としてではなく、ひとつの性的指向として深く理解することができれば、それはコミュニティの全員にとっても大きな価値となります。

 

自慰行為や性的な妄想をします。これは、エイセクシュアルとどのような関係がありますか?

かなりの割合のエイセクシュアルの人が、ある程度の興奮と性欲を経験します。そのなかには、妄想や自慰行為も含まれることがあります。一部の学者は、それを「オートコリセクシュアリティ」と呼んでいますがどのように認識するかは本人次第です。

自慰行為をするエイセクシュアルのなかには、性欲が原動力ではなく、ただ気持ちがいいからやったり、ストレス発散のためにやったりする人もいます。また、個人的に大切にしたい性欲があるために、自慰行為をする人もいます。彼らは、外部からの刺激に対する生物学的反応として興奮を覚え、解消する必要を感じているのかもしれませんが、他者(パートナー)との性行為を望むこととはまったくありません。

 

恋心を抱くことがあります。時々、恋に落ちることがあります。これは、エイセクシュアルでないことを意味しますか?

決してそんなことはありません。多くのエイセクシュアルは、セクシュアルの人と同じように、ロマンティックな魅力を感じ、ロマンティックな 恋を望んでいます。ただし、性行為は望んでいません。エイセクシュアルやエース・アンブレラの人々の多くは、恋愛の指向と性的な指向を分けて考える「スプリット・アトラクション・モデル」を使います。ロマンティックな絆は、性的な欲求とは切り離して考えることができるので、エイセクシュアルの人がロマンティックな関係を追求することはまったくもって自然なことです。ロマンティックな指向は、ヘテロ、ホモ、バイ、パン、アロマンティック(恋愛に関わる興味や欲求を経験しない人)など、性的指向と同じように表現します。また、グレイエリアのように、ロマンティシズム(恋愛をする)とアロマンティシズム(恋愛はしない)の間には中間的な領域があります。

 

愛するパートナーとの性行為を楽しんでいますが、ほかの誰かと性行為をしたいと思ったことは一度もありません。エイセクシュアルなのでしょうか?

自分にこう問いかけてみてください。――もし、あなたのパートナーが二度と性行為を望まないとしたら、あなたはそれで幸せですか?

一夫一婦型の性的魅力は、エイセクシュアルの議論とは異なります。一夫一婦型の人々は、彼らの関係を通じて満たされたい性的欲求を依然として持ち続けています。あるいは、強い絆で結ばれた相手とのみ性的な魅力や性欲を感じるデミセクシュアルである可能性もあります。

エイセクシュアルの人は、パートナーと性行為をすることで絆や物理的な快感を楽しむことはできますが、本質的な性行為への欲求はありません。例えば、パートナーに対して見返りを求めず、性的な満足感を与えることを楽しんでいることがあります。これは言い換えれば、性行為によってパートナーが愛されていると感じるのであれば、パートナーの幸せを願って、合意の上で性行為に参加したいと考えるエイセクシュアルもいるということです。

また、子供を作るために性交をするエイセクシュアルもいます。このように、性行為が私たちの人生の中でもっともプライベート性の高いものに関わる以上、何があなたにとってベストな選択なのかは、あなた自身にしか決めることができません。

 

恋に落ちません。親しい友人がいるだけで満足です。これはつまり、「ものすごくエイセクシュアル」だということですか?

エイセクシュアリティとは、片思いや恋愛関係で決まるものではなく、性的な魅力に惹かれたり、性関係を望む本質的な欲求がないことを意味します。もし、あなたがときめきや恋愛関係への欲求を経験しないのであれば、あなたはアロマンティックかもしれません。すべてのエイセクシュアルの人がアロマンティックではなく、アロマンティックの人すべてがエイセクシュアルというわけではありません。 エイセクシュアルはアロマンティックでもあるというのは誤解です。ですが、それぞれのコミュニティでかなり類似した点があります。

なお、「ほかの人と比べてエイセクシュアルである」という考えには疑問を感じます。エイセクシュアルやグレイエリアにヒエラルキーは存在しません。恋愛的指向のあるエイセクシュアルが、アロマンティック・エイセクシュアルより劣っているわけではありません。愛するパートナーと性的関係にあるエイセクシュアルも、性行為を一度もしたことがないエイセクシュアルも、コミュニティでは等しく尊重されています。

 

人に魅力を感じて性的に興奮してしまうのですが、性行為は嫌いで絶対にしません。エイセクシュアルなのでしょうか?

もし、あなたが性行為をしない理由が性的な魅力や欲求の欠如によるものであるなら、あなたはエイセクシュアルかもしれません。まず第一に、性行為が嫌いであることは、エイセクシュアルの定義ではありません。ただし性行為をすることに抵抗を感じるという意味でそれを嫌悪している人もいます。これには、セクシュアルもエイセクシュアルも含まれます。そのほか、性行為に無関心な人(どちらかというとあまり強い感情を持たない)、好意的な人(条件次第では相手と性行為をしてもかまわない)などが考えられます。性行為がなくても、苦痛を感じたり幸福度に影響がなければエイセクシュアルの可能性があります。しかし、それを判断するのは最終的にはその人自身です。

もしあなたがセクシュアルな人で、性行為をしないことを選択した場合、これは「独身(celibacy)」または「禁欲(abstinence)」と呼ばれます。宗教的・道徳的な理由、ネガティブな経験、個人的な修行、長期間にわたって交際を待つためなど、セクシュアルな人々が独身を選択する理由はさまざまです。エイセクシュアルと独身・禁欲の違いは、エイセクシュアルが個人的な意思決定から生まれたものではないということです。それは私たちのありのままの姿です。選択的にエイセクシュアルになることはできません。

 

わたしは、セクシュアルな人間ですが、性行為ができません。わたしをエイセクシュアルと呼ぶ人たちがいます。彼らは正しいのでしょうか?

あなたがセクシュアルだと感じればセクシュアルです。エイセクシュアルとは、生まれながらにそなわっている性的指向であり、性行為の経験不足や性行為を行う能力の欠如によって定義されるものではありません。ましてや、あなたの性行為の頻度や程度から他の人たちがあなたの性的指向を決めることはできません。あなたの性的指向が何であるかは、あなた自身が決めることです。

 

映画やドラマ、本に出てくるような、概念としてのセックスは好きですが、自分がすることについては全く興味がありません。エイセクシュアルに当てはまりますか?

エイセクシュアルの可能性はあります。もし、あなたが人に対して性的な魅力を感じなかったり、ほかの人と性行為したいという本質的な欲求がないのであれば、これはあなたが見たり読んだりするものとは分けて考えるべきでしょう。私たちがエンターテインメントとして楽しむもののなかには、現実には望まないものがたくさんあります。例えば、車が崖から落ちて、そのまま岩場を転げ落ち、炎上するようなドラマチックな場面を思い浮かべてください。見ている分にはよくても、そんなことは絶対に経験したくないです。

 

エイセクシュアルも性欲はある、という記事を見たことがありますが。

そのような記事のほとんどは、私たちが単に「リビドー」と呼んでいるものです。これは、性的な刺激を求めて気持ちを駆り立てる性的興奮を説明しているものです。

エイセクシュアルの人にとって、この興奮は他者の誰にも向けられていません。性欲(リビドー)のあるエイセクシュアルの人の多くは、自慰行為やほうっておくことでそれを解消しており、パートナーと性行為したいという欲求は根底にありません。

 

 

アイデンティティ/Identity/

ストレート・ゲイ・バイ・そのほかであると自認していますが、エイセクシュアルの定義にも当てはまります。これは、間違っているのでしょうか?

いいえ、あなたが当てはまると思うのであれば、ほかのオリエンテーションと合わせて自認することが可能です。エイセクシュアルの人たちは、ロマンティックな魅力を感じることができるので、指向を性的なものと恋愛的なものに分けている人が多いです。例えば、ホモロマンティックなエイセクシュアルは、自分を同性愛者と呼ぶかもしれません。それは、彼らのアイデンティティと彼らの望む人間関係に沿って定義されます。また、ストレート・ゲイ・バイ・パン・エースなどのラベルを組み合わせることが、ほかの人に自分自身を説明する助けになるのならそうすることもできるでしょう。

 

エイセクシュアルの人は、セクシュアルな人よりも知性・責任感・道徳性・そのほかにおいて優れているのでしょうか?

性的指向がその他の特性を左右することはありません。エイセクシュアルの人々は、知性、道徳性、運動能力、社交性など、ほかのどの分野でもセクシュアルの人々と同様です。

 

このコミュニティに出会えてよかったです。性行為する人たちって、すごく迷惑・おろか・間違い・不快ですよね?

いいえ。AVENはアンチ・セクシュアルの視点に同意も賛同もしていません。エイセクシュアリティ性的指向のひとつであり、それは私たちのありのままの姿であって、性行為やセクシュアリティ、セクシュアルな人々に対して特定の見解を示すものではありません。エイセクシュアリティは、ほかのオリエンテーションと同様に多様性があり、他の人と比較して優れているわけではありません。また、AVENにはエイセクシュアル当事者のパートナーであったり、ある時期からエイセクシュアルでいると自認している人など、多くのセクシュアルなメンバーがおり、彼らの視点はコミュニティで非常に重要視されています。

また、多くのエイセクシュアルは、一般的な性に対して非常にポジティブで協力的な見方をしています。エイセクシュアルは性行為には前向きではありませんが、ほかの人が自分の性的なものを表現することについては全面的に支持していることもあります。エイセクシュアルの人々は、性的な世界で生きることへの不満を共有し合うことができるかもしれませんが、エースコミュニティが性行為や性的な人々に対して保持する標準的な態度というものは存在しません。

 

そもそも、なぜエイセクシュアルは「カミングアウト」する必要があるのでしょうか?

一部のエイセクシュアルは、「性的な関係を結ばなければならない」という大きなプレッシャーを抱えて生きています。とくに、もし周囲の人々がその人のエイセクシュアリティに気づいていないのであれば、なおさらのことです。エイセクシュアルであることを公にすることで、その人がどう感じているのか、何を望んでいるのかについて理解を深めることができ、性行為をしなければならないという思い込みや、期待を取り除くことができます。

エイセクシュアルをオープンにすることは、本当の自分を見せたい、表現したいと願う人にとって、一種の解放にもつながります。もちろん、カミングアウトは個人の自由であり、しなかったからといって誰もあなたを評価したりしません。ただ実際に、多くのエイセクシュアルが自分についてオープンにすることで安心感を得ています。

 

なぜエイセクシュアルのコミュニティが必要なのでしょうか?

エイセクシュアル・コミュニティに参加することに価値を感じるかどうかは別として、多くの当事者にとってお互いの体験を共有することは大きな意味があります。コミュニティの形成は、可視化と教育、そして同じような体験をしている人たちへのサポートとガイダンスを提供するために不可欠なものです。2002年の結成以来、AVENは10万人以上のメンバーを持つコミュニティフォーラムをはじめ、エイセクシュアリティに関する主要な情報源となっています。エイセクシュアルの人たちは、AVENが提供するリソースを活用して認知度を高め、人々を結びつけていくことで、恩恵を受け続けることができます。

また、ほかのエイセクシュアル・コミュニティは、ソーシャルメディアの至る所にあります。TumblrFacebookRedditなどには、エイセクシュアル同士がつながるためのスペースがいくつもあります。このようなコミュニティに参加する理由は、エイセクシュアルについて学ぶため、自分自身について学ぶため、同じような人々とつながるため、など様々です。

 

エイセクシュアリティはもともとクィアだと思います。賛成ですか?

「エイセクシュアリティ」は新しい概念で、エイセクシュアル・コミュニティは、LGBT+のアイデンティティやコミュニティよりもずっと歴史が浅いです。欧米諸国における初期のLGBT+の歴史のさまざまな節目において、エイセクシュアリティはコミュニティとして確立されていませんでした。そのため、すべての運動や組織が、ジェンダーや性の多様性の一部として、エイセクシュアルを受け入れていたわけではありません。

エイセクシュアルの人々の中には、クィアを自認する人もいれば、マイノリティであることに共通点を見いだし、LGBT+の仲間と協力する人もいます。また、独自の理由からLGBT+のコミュニティに参加しないエイセクシュアルもいます。例えば、ある文化圏では、エイセクシュアルの人たちは性的指向のことで、社会から疎外されていると感じていない場合があります。その例としては、一般的にストレートと名乗っているヘテロロマンティックなエースたちです。

AVENは、組織としてLGBT+グループとの協力と支援を強く望んでいますが、自分が「クィア」であるとみなすか、LGBT+の一部であるとみなすかは個人の判断に委ねられています。

 

 

疑問と不安/Doubts and Fears

好きな人と本当に性行為したいのに、いざすると何も感じないし恐ろしくなります。なにがいけないのでしょうか?

あなたはなにも間違っていません。もし、行為を楽しめなかったり、したあとで深くがっかりするなら、それは、あなたが望んでいないからなのかもしれません。(仮に性行為を望む人になりたいと思っていたとしてもです。)エイセクシュアルの人は、本質的にほかの人と性行為をしたいという欲求がありません。たとえ、あなたが恋愛感情を抱いたり、美的な面で相手に深く惹かれていたとしてもです。

慎重に考えてみてください。あなたにとって性行為とはなんでしょうか。性的な行為から、なにを得たいと思いますか。人々が口にするような快感を期待していますか。あるいは、パートナーとの愛情表現の時間にしたいですか。それは、誰にとっても同じものではありません。もし、あなたがパートナーと同じように楽しめないなら、あなたはエイセクシュアルかもしれませんし、そうであってもそれは問題ありません。

実際、多くの当事者が「普通の」性的関係を持ってみたものの、うまくいかず自分がエイセクシュアルであることに気がついたという経験を持っています。エイセクシュアル・コミュニティは、同じような体験談に基づいて、サポートやガイダンスを提供するために活動しています。人間関係において性行為が平気なエースもいれば、まったく強いこだわりを感じない人もいます。あるいは、性的なことに抵抗があったり、嫌悪感があるという人もいます。いずれの場合も問題があるというわけではありません。

注:性欲の欠如が原因で個人的に悩んでいる場合は、医療専門家に相談することをおすすめします。アセクシュアル性的指向のひとつです。しかし、性的欲求低下障害(HSDD)のような疾患は、セクシュアルの人が性欲の低下に直面している場合に、さらなる悪影響を及ぼすものです。

 

エイセクシュアルであることはずっと孤独だということですか?

そんなことはありません。エイセクシュアルであっても、本人が望めば充実した恋愛関係を築くことができますし、実際に多くの当事者がそうなっています。これから、気の合うエイセクシュアルに出会えるかもしれませんし、お互いに歩み寄れるセクシュアルなパートナーに出会えるかもしれません。恋愛関係以外では、一般の人と同じように親しい友人関係を築くことができます。希望を持っていきましょう。

 

エイセクシュアルであることは一時的なものですか? どうしてこの状態が続くといいきれるのですか?

どの性的指向の人でも人生の中で自分の指向に疑問を抱く時期があります。エイセクシュアルの人も同じです。いまエイセクシュアルであると自認していたとして、あとになって別の指向であることに気がついたのなら、それは「一時的なもの」ではなく、あなたの自己発見の過程にほかならないのです。誰もが幼い頃から自分が誰なのか、何者であるかを正確に知っているわけではありません。2015年のエイセクシュアル国勢調査によれば、80%以上のエースが、エイセクシュアルであると自認する前に、別の指向であると認識していました。だからといって、ほかの指向が「一時的なも」のだった、ということにはならないと思います。

エイセクシュアルのコミュニティは、自分の指向に疑問を持っている人やまだ自分自身を理解できていない人を助けるために開かれています。あなたの事例がどうであれ、現在の自分をもっとも適切に表すものとしてアイデンティティを持つことは、恥じるべきことではありません。

 

自分がエイセクシュアルだと認められません。理想の相手を見つけて、その人と性的な関係を持てばいいと思うのですが。

エイセクシュアルであることに違和感や抵抗感を感じるなら、もちろんそれはあなたの選択です。エイセクシュアルであっても、その後に、性的欲求を刺激してくれるパートナーが見つかればそれはそれで素晴らしいことです。コミュニティに関わりエイセクシュアリティについて知ったり、同じような経験を持つ人と交流することで、自分の中のなにかを失うということはありません。また、将来的に性行為することを禁じる必要もありません。

 

自分のなにかが、すごく狂っているように思えます。わたしは壊れています。エイセクシュアルの原因は幼い頃のある出来事に関係がありそうです。そのせいで、こんなふうになってしまったと思います。

エイセクシュアリティは正当な指向であり、あなたが壊れているわけではありません。また、エイセクシュアリティは機能障害ではありませんし「原因」や「治療法」を探す必要もありません。ほかのすべての指向と同じで、トラウマを経験した人もいれば、そうでない人もいます。現に、2015年のエイセクシュアル国勢調査によれば、エースの過半数が性的暴力を経験したことがないと回答しています。

とはいえ、もし人と親密になることが困難で、その結果として幸福感を得られないのであれば、なんらかのカウンセリングを受けることをおすすめします。どのような指向であっても、精神的・肉体的に自分を大切にすることはごく当たり前のことです。

 

性的な抑圧を受けているか、現実社会から距離をおくためか、あるいは逃避するためにエイセクシュアリティを利用しているのではないかと心配しています。本当にエイセクシュアルなのかどうか、どうすれば確認できますか?

あなたがエイセクシュアルかどうかは、あなたにしかわかりませんが、調べるための出発点を提供することはできます。あなたは性的な衝動にかられないようにあえて我慢する選択をしていますか。性的な欲求や興奮などを感じないことでなにかを我慢しているように不満に感じることはありますか。

そうではない場合、エイセクシュアルである可能性が高いです。そして、心身の健康全般は指向に関係なくすべての人が取り組むべき課題です。もし、なにかに我慢していると感じたら、できるかぎりの範囲でいま必要なセルフケアを実践してみてください。

 

エイセクシュアルであることがいやです。ほかの人たちと同じように、普通になりたいです。どうすればいいですか?

ほかの性的指向と同様にエイセクシュアルであることは選択肢ではありません。それは、治療すべき病気でもなければ、変えようと努力するものでもありません。欲求の有無に応じて行動を変えることはできても、欲求そのものをなくすことはできません。これは、シンプルに私たちが人間であるということです。もし、ほかの人たちと距離を感じているなら、ネットや対面でサポートしてくれるエイセクシュアルコミュニティはあります。そこにいる人たちの多くは、お互い同じようなことを経験していますし、支援を必要としている人たちに知恵を提供してくれるはずです。

 

エイセクシュアルだとは絶対に人にいえません。変人あつかいされたり、笑いものにされるのがこわいからです。

受け入れてもらえるか心配なのは、あなただけではありません。もし、公にカミングアウトすることに抵抗があるのであれば無理にそうする必要はありません。多くのエイセクシュアルが同じ悩みを抱えており、だからこそ、AVENフォーラムのようなオンライン環境が多くの当事者を救ってきました。大切なのは、あなた自身がどう考えるかです。そのためのサポート環境としてAVENのようなエースのコミュニティサイトは増え続けています。

最後に、エイセクシュアルの人たちは、カミングアウトすることによって様々な状況に直面するわけですが、ポジティブな経験も多くあります。カミングアウトのあとに、エイセクシュアリティとはどういうものかを説明する必要があることも多いでしょう。気長にいきましょう。あなた自身も、はじめは自分がエイセクシュアルであることを理解するために苦労していたはずです。ですから、ほかの人が最初にエイセクシュアリティについて聞かされたとき、同じような困難があってもおかしくはありません。まず、AVENのこのFAQセクションが役に立つことをねがっています。また、コミュニティへの参加をすすめるなど、さまざまな方法で人々の理解を深めることができます。   

 

 

 

 

 

 Link to original source :    https://asexuality.org/?q=general.html

(2)ようこそ / WELCOME

The Asexual Visibility and Education Network (エイセクシュアルの可視化と教育ネットワーク)へようこそ。AVEN(エイヴン)は、世界最大のオンライン・エイセクシュアル・コミュニティと、エイセクシュアルに関する膨大な資料のアーカイブを運営しています。AVENは、セクシュアルとエイセクシュアルとの人々の間で、エイセクシュアリティについて、オープンかつ誠実な議論を行うことに努めています。

 

性行為を控える独身主義とは異なり、エイセクシュアリティは、他の性的指向と同じように、その人自身にとって本質的にそなわっているものです。エイセクシュアリティについてもっと知りたい方は、このAVEN紹介サイトを是非ご覧ください。

 

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